猫系男子の甘い誘惑
(このお腹……見られたわけ……!)

 別れてから暴飲暴食をしていたから、以前より少し太った自覚はある。

(……痩せよう)

 不健康なダイエットはいかがなものかと思うが、このまま太り続けるというのもまずい。絶対、まずい。

 あいつの結婚式まで、あと二ヶ月。少なくとも、みっともないところを見せるわけにはいかないというのは、倫子の意地だ。

 それからまた別の日に連れていかれたのは、バッティングセンターだった。なぜこんなところに、と問う倫子に佑真は笑ってみせる。

「この間、山に行ったのは楽しかったでしょ。倫子さんは身体を動かす必要があるんだって」

 バットなんて握ったこともなかったけれど、彼の言うとおりに握って思いきり振り回すだけで、すかっとした。

(……佑真と一緒にいると楽しいかもしれない)

『責任をとる』と彼は言っていたけれど、それだけで彼が自分にこれだけ一生懸命接してくれる理由がわからない。思い当たる言葉はあるような気もするけれど、それを認めるわけにはいかなかった。
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