猫系男子の甘い誘惑
◇◇◇
けれど、連れ回す宣言をした後も、佑真は倫子に必要以上に接近しようとはしなかった。
たとえば、歩いている最中、何気なく手を差し出されてそれに返したことはある。けれど、それだけ。
夜、家の前まで送ってくれても上がることはなかった。倫子がコーヒーでも飲んでいかないかとすすめても、だ。
(……何を、考えているのかな)
考えてみるけれど、倫子にはわからない。
こんなに毎日のように付き合わせているのでは、今度はこちらが責任を取らなければならないのではないかと不安になる。
(それに……敦樹のことも、もう遠い人みたいに感じるし)
佑真と会っている間は、敦樹のことなんて完全に忘れている。
もう、彼の結婚式に参列したとしても、みっともない姿をさらすようなことにはならないのではないかと思う。
立ち直ってきたら立ち直ってきたで、一つ考えなければならないことがある。
(いつまでも佑真を付き合わせるのは、よくないんじゃないかな)
これが「初めてでした」という状況なら、「責任とってよ!」となる気持ちもわからなくはないが、倫子自身はそれなりに経験もあるし、あの夜の責任にしては、あまりにも佑真の払っている代償は大きすぎる。
けれど、連れ回す宣言をした後も、佑真は倫子に必要以上に接近しようとはしなかった。
たとえば、歩いている最中、何気なく手を差し出されてそれに返したことはある。けれど、それだけ。
夜、家の前まで送ってくれても上がることはなかった。倫子がコーヒーでも飲んでいかないかとすすめても、だ。
(……何を、考えているのかな)
考えてみるけれど、倫子にはわからない。
こんなに毎日のように付き合わせているのでは、今度はこちらが責任を取らなければならないのではないかと不安になる。
(それに……敦樹のことも、もう遠い人みたいに感じるし)
佑真と会っている間は、敦樹のことなんて完全に忘れている。
もう、彼の結婚式に参列したとしても、みっともない姿をさらすようなことにはならないのではないかと思う。
立ち直ってきたら立ち直ってきたで、一つ考えなければならないことがある。
(いつまでも佑真を付き合わせるのは、よくないんじゃないかな)
これが「初めてでした」という状況なら、「責任とってよ!」となる気持ちもわからなくはないが、倫子自身はそれなりに経験もあるし、あの夜の責任にしては、あまりにも佑真の払っている代償は大きすぎる。