猫系男子の甘い誘惑
黒以外にした方がよさそうだ――その日一番美しく見えるように装った新婦と並ぶ新郎の前でみっともないところは見せたくない。
「大丈夫、大丈夫。倫子さんはすごく綺麗だから、何着ても大丈夫」
「黙れ」
何着ても大丈夫なら、黒を着たっていいじゃないか。
ぴしゃりと言い放って、並べられたドレスの中から適当に一枚引っ張り出す。一同僚としてはあまりにも目立つ色彩は避けたいところ。
「――それ、アウト」
倫子の後をついてきていた佑真が言った。
「その色着ると、倫子さんめっちゃブサイクに見える。それだったら、隣の方がいいなあ」
「真っ黄色なんて、同僚の結婚式には派手すぎるでしょうが」
大人っぽくて、落ち着いていて――控えめで――できれば、綺麗に見せる。難しい。やっぱり黒でいいんじゃないだろうか、
「俺に選ばせてって言ったでしょ。その黄色はいいと思うけど……じゃあ、こっちの紺は? 倫子さん、肌綺麗なんだし紺似合うよ、きっと」
「裾、派手じゃない?」
「このくらいいいと思うけどなー、じゃあさ、そっちのピンク」
「却下。色が若すぎる」
「倫子さん、十分若いのに」
「うるさい」
「大丈夫、大丈夫。倫子さんはすごく綺麗だから、何着ても大丈夫」
「黙れ」
何着ても大丈夫なら、黒を着たっていいじゃないか。
ぴしゃりと言い放って、並べられたドレスの中から適当に一枚引っ張り出す。一同僚としてはあまりにも目立つ色彩は避けたいところ。
「――それ、アウト」
倫子の後をついてきていた佑真が言った。
「その色着ると、倫子さんめっちゃブサイクに見える。それだったら、隣の方がいいなあ」
「真っ黄色なんて、同僚の結婚式には派手すぎるでしょうが」
大人っぽくて、落ち着いていて――控えめで――できれば、綺麗に見せる。難しい。やっぱり黒でいいんじゃないだろうか、
「俺に選ばせてって言ったでしょ。その黄色はいいと思うけど……じゃあ、こっちの紺は? 倫子さん、肌綺麗なんだし紺似合うよ、きっと」
「裾、派手じゃない?」
「このくらいいいと思うけどなー、じゃあさ、そっちのピンク」
「却下。色が若すぎる」
「倫子さん、十分若いのに」
「うるさい」