猫系男子の甘い誘惑
どうして、こいつを連れてくる羽目に陥ったんだっけ? 考えても始まらない。だいたい、今日ドレスを見に行くと連絡したのは倫子の方だ。
倫子は、先ほど佑真の示した紺と、その隣にあった緑のドレスを手に取った。
「試着してみる」
「紺でいいと思うけどなー」
佑真の声には返事をせず、試着室の扉を後ろ手に閉める。紺と言っても、光の加減では黒に近い色に見えるくらい、色合いは地味だった。裾が派手だと言ったのは、そこにぐるりと銀色で刺繍がされているから。
ただ、スカートの丈は踝近くまであり、刺繍が施されているのは裾のあたりだけだったから、実際に着てみるとそれほど派手というわけでもなかった。
(……くやしいけど、悪くないじゃない……)
鏡を見てみれば、たしかに肌の色によく合っている。それに、紺と言っても暗い色合いだから、変に浮くこともなさそうだった。割に胸元は広く開いているが、上着もついているから、必要以上に肌を露出することもない。
もう一着。暗い緑色のドレスも手に取ってみたけれど、こちらは手に取ってみた瞬間、合わないだろうと思った。
倫子は、先ほど佑真の示した紺と、その隣にあった緑のドレスを手に取った。
「試着してみる」
「紺でいいと思うけどなー」
佑真の声には返事をせず、試着室の扉を後ろ手に閉める。紺と言っても、光の加減では黒に近い色に見えるくらい、色合いは地味だった。裾が派手だと言ったのは、そこにぐるりと銀色で刺繍がされているから。
ただ、スカートの丈は踝近くまであり、刺繍が施されているのは裾のあたりだけだったから、実際に着てみるとそれほど派手というわけでもなかった。
(……くやしいけど、悪くないじゃない……)
鏡を見てみれば、たしかに肌の色によく合っている。それに、紺と言っても暗い色合いだから、変に浮くこともなさそうだった。割に胸元は広く開いているが、上着もついているから、必要以上に肌を露出することもない。
もう一着。暗い緑色のドレスも手に取ってみたけれど、こちらは手に取ってみた瞬間、合わないだろうと思った。