猫系男子の甘い誘惑
 結局、今日みたいな決着のつき方が誰にとっても一番よかったのだろう。

 倫子は、完全に満足してしていたけれど、佑真は不満そうに頬を膨らませた。ぐいとビールを飲み干した彼は、思い切ったように口を開く。

「……俺に、刺してみるっていうのはどう?」 
「はあ?」

 倫子は眉根を寄せた。

「俺、倫子さんのこと好きだよ?」
「……はい?」

 佑真が何を言いたいのか、まったくわからない。

 カウンターに半分身を乗り出すようにして、正面から佑真の顔を見てみる。倫子がのぞきこんでくるのに気がついた佑真はますますふくれっ面になった。

「……信じてないでしょ? 俺、絶対頑張ったと思うのに」
「し……信じてないわけじゃ」

 佑真のふくれっ面に、狼狽えたのは倫子の方だった。なんらかの打算があるのだろうかとは思っていたけど、まさかそれがこういう形で暴露されるとは思ってなかった。

「本当に? じゃあ、俺と付き合ってよ」
「ちょ、な、何でそんな話になるわけ?」

 狼狽えすぎて、うまい言葉が出てこない。
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