猫系男子の甘い誘惑
望む言葉を告げて
 もつれ合いながらベッドに倒れ込む。欲情した身体は、もうとまらなかった。

 シャワーとか、そういった単語が頭をかすめるが、気づかなかったことにしておく。今はそんなことに気をとられたくなかった。

「ゆう、ま――」

 彼の名を呼ぶ声がもう濡れている。

「今の、倫子さん、すっげー色っぽい」
「……バカ」

 つんと顔をそむけたのは、そんな言葉が似合わないことをよく知っているから。年相応の色気だなんて、持ち合わせてない。

「ホント。だって、俺もうこんなになってるもん」
「ひゃあっ」

 右手を掴んで、下腹部へと移動させられる。その場所がもう硬く張りつめていることを知らされて、思わず妙な声が上がった。

 色っぽい、なんて言われた直後にこれだ。性的な欲求とは関係ない羞恥心が頬を熱くする。

「ん、そういうところは可愛い」
「……バカ」

 さっきと同じ言葉の繰り返し。色っぽいだの、可愛いだの――今までにそんな言葉をかけてもらったことがあっただろうか。

「ん……あ、あぁ」

 カットソーが胸の上まで捲り上げられて、ついでのようにホックを外されたブラジャーも持ち上げられる。

 平均よりも小さめな胸が、佑真の目にさらされた。服の上からでも豊満でないことは、わかっていただろうが――実際はどうなのだろう。
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