猫系男子の甘い誘惑
社内の人間は誰も、倫子と敦樹が付き合っていたなんて知らない。佑真が二人の付き合いを知っているのは、彼が職場の人間ではなく、敦樹の後輩だからだ。
彼に問いただそうとは思わないけれど、敦樹が倫子から乗り換えた後輩のあの子のこともきっと知っている。
同じ職場、同期だから倫子のところにもきっと結婚式の招待状は届くだろう。それを見たくなかったから……。
(ああ、そうか。だから、私、あんなに……)
昨夜、自分が荒れたのもわかったような気がした。
結局、倫子の中では終わっていなかったのだ。それを愛情と呼んでいいのかはもうわからない。執着だけなのかもしれない。
それでも、せめて一矢報いなければ、彼との時間を信じていた自分が気の毒過ぎると――そう思った。
「復讐って、何かいい方法でもあるの?」
そう、問いかけた時には、もう半分佑真の用意した罠に飛び込んでしまっている。それはわかっていたけれど、問わずにはいられなかった。
「そりゃ、倫子さんがすっごく綺麗になることでしょ。それ見て、『あんないい女を逃すなんて!』て彼氏が思ったら最高だと思わない?」
「却下」
最初から無理なことを言われてもどうしようもない。
自分が美人ではないことくらいよくわかっているし、多少みなりを綺麗にしたところで、今さら敦樹が後悔するとも思えない。
「あのねえ、私のどこに綺麗になれる要素があると思うの? そんなんであいつが後悔するなら、整形の一つや二つするとでも?」
彼に問いただそうとは思わないけれど、敦樹が倫子から乗り換えた後輩のあの子のこともきっと知っている。
同じ職場、同期だから倫子のところにもきっと結婚式の招待状は届くだろう。それを見たくなかったから……。
(ああ、そうか。だから、私、あんなに……)
昨夜、自分が荒れたのもわかったような気がした。
結局、倫子の中では終わっていなかったのだ。それを愛情と呼んでいいのかはもうわからない。執着だけなのかもしれない。
それでも、せめて一矢報いなければ、彼との時間を信じていた自分が気の毒過ぎると――そう思った。
「復讐って、何かいい方法でもあるの?」
そう、問いかけた時には、もう半分佑真の用意した罠に飛び込んでしまっている。それはわかっていたけれど、問わずにはいられなかった。
「そりゃ、倫子さんがすっごく綺麗になることでしょ。それ見て、『あんないい女を逃すなんて!』て彼氏が思ったら最高だと思わない?」
「却下」
最初から無理なことを言われてもどうしようもない。
自分が美人ではないことくらいよくわかっているし、多少みなりを綺麗にしたところで、今さら敦樹が後悔するとも思えない。
「あのねえ、私のどこに綺麗になれる要素があると思うの? そんなんであいつが後悔するなら、整形の一つや二つするとでも?」