夏祭りの恋物語(3)~かき氷の誘惑~
「珠美、疲れただろ。ありがとうな」
お父さんの声がして、肩をポンと叩かれた。
「あ、うん」
「暑いのにご苦労だったな」
「大丈夫だよ。後片付けも手伝うね」
本当はかき氷か何かさっぱりして冷たいものを食べたい気分だったけど、お父さんとお母さんだって、ずっと野菜を切ったり焼きそばを焼いたりしていて疲れているはずだ。
私がお父さんの方を見たとき、店の外から「ターマー」と声が聞こえてきた。わざわざ振り返らなくてもわかる、章太郎の声だ。
「何よ、だから私は猫じゃないって……」
言いかけた私の目の前に、章太郎がスチロールカップを二つ突き出した。白いカップにてんこ盛りにされているのは、店のライトを浴びてキラキラ輝くかき氷。
「お疲れ様。珠美、レモン味、好きだっただろ。俺はメロンな」
章太郎が黄色いシロップのかかったかき氷を差し出した。
「あ、ありがと」
私はおずおずと両手を伸ばして受け取った。
「おじさん、店終わりましたか?」
章太郎の問いかけに、お父さんが日焼けした顔に笑みを浮かべて答える。
「ああ、もう片付けだけだから、珠美も章太郎くんと少しお祭りを覗いて来るといい」
「ほら、おじさんもああ言ってる」
章太郎に背中を押されて、私は「うん」と小声で言った。章太郎がかき氷のカップを持ってくれたので、エプロンを外す。
お父さんの声がして、肩をポンと叩かれた。
「あ、うん」
「暑いのにご苦労だったな」
「大丈夫だよ。後片付けも手伝うね」
本当はかき氷か何かさっぱりして冷たいものを食べたい気分だったけど、お父さんとお母さんだって、ずっと野菜を切ったり焼きそばを焼いたりしていて疲れているはずだ。
私がお父さんの方を見たとき、店の外から「ターマー」と声が聞こえてきた。わざわざ振り返らなくてもわかる、章太郎の声だ。
「何よ、だから私は猫じゃないって……」
言いかけた私の目の前に、章太郎がスチロールカップを二つ突き出した。白いカップにてんこ盛りにされているのは、店のライトを浴びてキラキラ輝くかき氷。
「お疲れ様。珠美、レモン味、好きだっただろ。俺はメロンな」
章太郎が黄色いシロップのかかったかき氷を差し出した。
「あ、ありがと」
私はおずおずと両手を伸ばして受け取った。
「おじさん、店終わりましたか?」
章太郎の問いかけに、お父さんが日焼けした顔に笑みを浮かべて答える。
「ああ、もう片付けだけだから、珠美も章太郎くんと少しお祭りを覗いて来るといい」
「ほら、おじさんもああ言ってる」
章太郎に背中を押されて、私は「うん」と小声で言った。章太郎がかき氷のカップを持ってくれたので、エプロンを外す。