夏祭りの恋物語(3)~かき氷の誘惑~
「焼きそばの匂いがする~」
「言わないでよ、それ!」
気にしてるんだから!
「なんで~? タマの匂いだろ」
「だからタマって呼ぶな!」
章太郎に肩を抱かれたままじたばた暴れると、ようやく彼の腕から解放された。けれど、目の前に章太郎の真剣な顔を見つけてドキンとする。
「俺、タマのことを珠美って呼ぶのは、珠美が俺の彼女になってくれたときだって決めてるんだけどな」
「え?」
「ねえ、いいよね?」
「な、何が?」
「俺の彼女になって」
「わ、私!?」
「なってくれないとタマって呼ぶし、かき氷もあげない」
「や、それ、ちょっと意味わかんないし!」
あわてる私を章太郎が上目遣いで見つめてくる。
ああっ、それ反則! そんなふうに見られると、どうしても世話を焼きたくなっちゃうじゃないのよっ。
私は照れくさくて頬を膨らませて言う。
「しょうがないわねっ。彼女になってあげる。だから、かき氷ちょうだい!」
私が伸ばした右手を章太郎がつかんで笑いながら言う。
「口移しで食べさせてあげようか?」
「ヤダ、そんなの溶けるし、おいしくない!」
かわいげのないことを言う私を、章太郎が目を細めて笑って見ている。ずっと独り占めしたいと思っていたこの笑顔が、本当に私のものになるの?
「言わないでよ、それ!」
気にしてるんだから!
「なんで~? タマの匂いだろ」
「だからタマって呼ぶな!」
章太郎に肩を抱かれたままじたばた暴れると、ようやく彼の腕から解放された。けれど、目の前に章太郎の真剣な顔を見つけてドキンとする。
「俺、タマのことを珠美って呼ぶのは、珠美が俺の彼女になってくれたときだって決めてるんだけどな」
「え?」
「ねえ、いいよね?」
「な、何が?」
「俺の彼女になって」
「わ、私!?」
「なってくれないとタマって呼ぶし、かき氷もあげない」
「や、それ、ちょっと意味わかんないし!」
あわてる私を章太郎が上目遣いで見つめてくる。
ああっ、それ反則! そんなふうに見られると、どうしても世話を焼きたくなっちゃうじゃないのよっ。
私は照れくさくて頬を膨らませて言う。
「しょうがないわねっ。彼女になってあげる。だから、かき氷ちょうだい!」
私が伸ばした右手を章太郎がつかんで笑いながら言う。
「口移しで食べさせてあげようか?」
「ヤダ、そんなの溶けるし、おいしくない!」
かわいげのないことを言う私を、章太郎が目を細めて笑って見ている。ずっと独り占めしたいと思っていたこの笑顔が、本当に私のものになるの?