きみが死ぬまでそばにいる
「紗己子! 大丈夫ー?」
「うん、平気だよ。ついでに勧誘しちゃった!」
弟を見送った後、追い付いて来た泉と部長に笑って答える。
「でもあいつは入らないだろうなぁ……」
泉の隣で言ったのは部長だ。
「あの一年生と部長、知り合いなんですか?」
「知り合いじゃないよ。一方的に知ってるだけ。一部に有名だから、あいつ」
首を傾げたわたしに、部長は答える。
「ほら、俺前水泳やってたじゃん。二つ下で全国でも入賞するようなすごい奴がいるって部内で有名だったんだよ」
部長は昔、水泳部だったらしい。だけど、怪我をして、選手を続けられなくなってやめてしまったと聞いたことがあった。
「そんなにすごい選手なんだあ……でも、うちの学校の水泳部って普通じゃないですか?」
泉の言葉にわたしも頷いた。
弟が水泳をやっていたとは知らなかったけれど、それほどの選手なら強豪校から推薦も来るだろう。しかし、この学校はそもそも運動部に力を入れていないし、水泳部の成績も至って普通でしかない。
「そりゃ、部活ではやんないだろ。クラブで続けるんじゃないか」
「ああ……なるほど」