きみが死ぬまでそばにいる
誰もいなくなった放課後の教室に鞄を取りに戻る。先に部活に向かった泉には、気が向いたら行くと言ってあったが、やはりそんな気にはなれなかった。
次の旅行はおそらく冬。今の時期は、来月の文化祭に向けた準備でもやるのだろう。
――どうでもいい。果てしなく興味が持てない。何もかも。
「……あっ」
学校を出る前に寄った一階のトイレの前で、先に小さく声をあげたのは向こうだった。
彼女ははっとしたように口をつぐむと、ばつが悪そうに視線を外し、そそくさとトイレから出ていこうとする。
「待って、天童さん」
「な……なんですか?」
つい反射的に天童さん呼び止めてしまった。久しぶりに見た彼女は、わたしを警戒するように見てはいたが、元気そうに見えた。
だけど――どうしよう。特に話したいことがあったわけではない。
「いや……その、最近見ないから。どうしてるのかなと思って」
「どうもしませんよ。安心して下さい。あたし、もう陸くんに近づいたりしませんから」