きみが死ぬまでそばにいる
「息子の将来を守るためなら、この家と縁を切ることなどなんでもない。よく考えろよ、何が一番自分のためになるのか」
遂にその本性をあらわした父。それは想像していたよりもずっと、大きな障害となって立ちはだかり、ようやく悟った。
甘かったのだ――わたしは。この男の狡猾さと冷酷さを、軽くみていた。母と自分の復讐を果たせると信じて疑わなかった愚かで幼い自分は、完全にこの男に敗北したのだ、と。
そしてやはり、父には愛されていなかったのだと――知った。
愕然としてただ立ち尽すわたしの横を、殺したいほど憎い男が通り過ぎてゆく。その男は何もなかったような顔で、祖母の前に顔を出し、笑い声を響かせた。
目の前が真っ暗になったようだった。
陸とはもう、一緒にいられないかもしれない――そんな絶望感に支配されたわたしのもとに電話がかかってきたのは、翌日の授業中のことだった。
「お父さんが会社で倒れた」と、祖母からの電話を受けた教師が告げた。