きみが死ぬまでそばにいる
翌日は、普段通りに登校した。予定では授業が終わった後に病院に行く。もしもそれまでの間に、父の様態に急変があれば、祖父母が連絡をくれることになっていた。
「あの父親……死ぬかもしれないって」
二日ぶりに陸と話した朝、わたしは淡々と告げた。
父がわたしに会いに来た日、帰り道で別れて以来陸とは連絡をとっていなかったから、大層驚いたことだろう。心配して二年の教室を訪ねてきてみれば、異母姉が自分たちの父親が死ぬと言うのだから。
「どういうことですか」と言う陸に、昨日倒れて手術をしたが、いつ急変してもおかしくはないという話をした。
「そうですか……」
黙って聞いていた陸は、少しの沈黙の後呟くように言った。
陸は父が生死の境をさ迷っていることを知っても、取り乱したりはしない。正直なところ、彼にとって父親がどのような存在なのか分からなかった。ずっと父を憎み続けてきたわたしとは、違う感情を持っているだろうとは思う。
「今日も学校が終わったら病院に行くの。一緒に来る?」
「いえ、俺は家族じゃないから……」
そう言って遠慮した陸の顔が切なげに歪んで、思わず胸が苦しくなった。