きみが死ぬまでそばにいる
奇跡と呼ぶにはあまりにおぞましい願望。わたしも陸も、それを自覚しながら口に出しているのだから、もうどうしようもない。
「俺の両親はもう手遅れだからいいとして――このままならきっと近いうちに、先輩のご家族にも知れちゃいますね。いいんですか? 優しいおばあさま、おじいさまを悲しませても」
「そんなの……!」
あまりにも今更な話だ、と言いかけたのを思わず飲み込んだ。
あの日の、父の最後の言葉が頭をよぎる。何が一番自分のためになるのか、よく考えろとあの男は言った。
どういう意味かは分かっている。けれどそれらは承知の上で、この道を選んできたはずだった。
それよりも何よりも、どうして今頃になって陸はそんなことを言うのか。まるで――わたしの心を揺さぶろうとしているみたいに。
「だけど――たった一つだけ、先輩が家族も友達も捨てずに済む方法がありますよ」
無意識に眉をよせたわたしに、陸は予想通りとでも言いたげに苦笑する。
そして、咄嗟に思い浮かんだ不安。
「……そこには、きみは含まれているの」
けれども、陸はそれには答えなかった。代わりに、ただ笑った。それで――悟る。
「一緒に逃げようって言ってよ。そうしたら、わたし……」
「生活力もない子供が二人で、どこへ行こうっていうんですか」
陸は感情を押し殺すように、淡々と正論突きつける。
それが理解できないほど、馬鹿ではないつもりだった。けれども、理解するのと、受け入れるのとでは違う――……