きみが死ぬまでそばにいる
「はい。一年二組の椎名陸っていいます。よろしくお願いします!」
知っている。きみは知らないだろうけど。
きみの父親も母親も、二人が何をしたかも。きみたちがわたしから何を盗んだかも。
なのにきみは何も知らない。知らないから、そんな綺麗な顔ができる。
ずるいよね。卑怯だよね。
だってわたしたち、半分は同じ血を引いているのに。
「わたしは、二年の菅原紗己子。今日はちょっと集まりが悪いけど、とりあえず入ってね」
優しく言って陸を部室に招き入れる。
そんなわたしは、甘言を囁いて誘い込む魔女のよう。
だけど、きみが悪いんだよ?
何も知らずに笑っているから。
だから、きみも傷つけばいい。
その時のきみの顔を、きっと、そばで見ていてあげるから。