きみが死ぬまでそばにいる
父の病気が再発したのは、わたしが大学を卒業する間際のこと。再度脳から出血して倒れた父は、あっさりと帰らぬ人となった。
晩年は高校生の頃以上にわたしや祖父母との関わりが薄くなり、危篤の知らせを聞いた時は久しぶりにあの男のことを思い出したものだった。
葬儀の準備を進めていく中で、昔の感情を徐々に取り戻していく。けれど、あれほど願った男の死は、わたしに大した喜びを与えなかった。
もっと早くに死んでくれていれば、感じ方も違ったのかもしれない。結局わたしは、母の無念を晴らすことができなかったのだから。
それでも、まだ四十代での早すぎる死。わたしの祖父母よりも先に死んだ男は、さぞ無念だっただろう。それを思えば、多少の溜飲は下がるというもの。