きみが死ぬまでそばにいる
陸と別れてから六度目の春、わたしは就職して社会人になった。
それからは仕事もプライベートも充実した日々を過ごしたが、あまり長くは続かなかった。
恋人がいるのに他の男のことを考えた罰か、それともこの醜い心根に対する報いか、心当たりはありすぎて分からないけれど、わたしは恋人にふられてしまった。
「その人は運命の人じゃなかったんですよ。だから合コン行きましょう、先輩!」
少し夢見がちな職場の後輩は、成人してもなお白馬に乗った王子様が存在すると信じているような乙女キャラ。
話した自分が馬鹿だったと後悔しながらも、強引に誘う彼女に断りきれず、結局参加することになってしまったのだから、わたしも大概である。
「ねぇ――ママとパパって、合コンで出会ったの?」
小学生になった娘が、そんなことを言い出すようになったのは、更に数年後のことである。
一体誰がそんなことを教えたのかと考えれば、思い当たるのは一人しかいない。
何だかなあ、とは思うけれど、夫も自ら進んで話したわけではないだろう。そういう自分も、嘘でない範囲で答えるには、同じように教えたと思う。
わたしが仕方なしに肯定すると、娘は目を輝かせて更に言った。
「合コンって何?」
「パパに聞いてみたら?」
「パパはママに聞きなさいって言ったもん!」
ああ、夫もめんどくさいことを押し付けてきたものだ。
わたしは適当に「飲み会のようなもの」と言って逃れようとしたが、娘の質問攻撃はそれだけでは終わらなかった。