きみが死ぬまでそばにいる
休日の昼下がり、友達の家に遊びに行った娘を見送ると、わたしは一気に手持ちぶさたになった。夫は急な出勤で、暇な主婦の相手をしてくれる独身の友達もいない。今は隣町に住んでいる泉も、この間三人目の子供が生まれたばかりで、お邪魔するのはまだ気が引ける。
――お祝いに何を渡すか、考えておかなくちゃ。
結局特にすることがなく、ソファにもたれ掛かったわたしは、ぼうっとしながらそんなことを思った。
どうせ夫はいつもそういうことをわたしに任せきりで、何も考えてはくれない。
だけど――娘の名前だけは、夫が決めた。妊娠したと告げた時から、必ず未希にすると言ってきかなかったのだ。
悪い名前だとは思わなかった。でも、「未」来への「希」望なんて、わたしたちが望んでもいいのだろうか、と思った。神に背き、親を、家族を、友達を、今も裏切り続けているわたしたちに、そんなことが許されるのだろうか、と。
不意にわき上がった不安を口にすると、彼は「いいんだよ」と言って、「あの時」と同じように微笑んだ。