きみが死ぬまでそばにいる
そしてある日の放課後、チャンスはやって来た。
旅行研究同好会は、基本的に週三回部室に集まるだけの、のんびりした同好会。人が集まればミーティングをするが、集まりはよくない。長期休み中に行われる旅行以外は来ないメンバーすらいる。
そんな中にあって、わたしは比較的部室に足を運ぶ方ではあった。というのは、部室が人がいない故に勉強するのに丁度良かったからだけれども。
その日、いつものように部室の扉を開けると先客がいた。陸だった。
「椎名くん、こんにちは。一番乗り? 珍しいね」
陸は机に向かっていた陸は、わたしに気づいて顔を上げる。
「菅原先輩……お疲れ様です」
言った陸は笑っていたが、どこか沈んでいるようにも見えた。
「それ、今度の旅行のプラン? 真面目だねぇ、わたし、まだ考えてないや」
旅行研究同好会では、来月の三連休で日帰り旅行に行くことになっていた。行き先などのプランは部員が考える。個人でもグループでもいいが、それぞれの考えたプランを発表して、最終的には多数決で支持されたプランが採用されるのだ。
「はい、でも……考えがまとまらなくて」
「まだ一年生だし、気負わなくてもいいんだよ。先輩のプランに乗っかるのも楽しいし……って、そういうことじゃないのかな。何かあった?」