きみが死ぬまでそばにいる
 
「紗己子って、実は無自覚小悪魔系?」

 そう言った泉は、小さく息を吐いた。

「何言ってるの、そんなわけないじゃん」
「気づいていないの、紗己子だけだよ。紗己子って、美人だし、男子からも結構人気なんだよ?」

 泉が何を言いたいのか、さっぱり分からなかった。それは確かに、過去には何人かの男子に告白されたこともあったけれど。
 興味のない男子から好意を持たれたって仕方がない。好きな人に振り向いて貰えない気持ちは、泉には分からないだろう。

 「そんなことないって」と言って適当に流せば、聞く耳持たないわたしに泉も諦めたようだった。

 泉のことは好きだけれど、これ以上はもやもやとした感情を抑えられなくなる。

 わたしにだって、好きな人くらいいる。
 それを言えないのは誰のせい? 別に責めたいわけじゃないけれど、だけど……
 
< 22 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop