きみが死ぬまでそばにいる
追試に合格したというのに、陸はあまり嬉しそうには見えなかった。というよりは、雰囲気がどこか違うような気がする。
「良かった。じゃあ、旅行も一緒に行けるね!」
「…………」
「……椎名くん?」
何かおかしなことを言っただろうか。陸が急に黙ってしまって、わたしは不安になった。
「前に、話したいことがあるって言ったの覚えてます?」
沈黙の後、ようやく口を開いた陸は言った。
「ああ、えっと……そうだったね。何かな、話って」
わたしはにこりと笑ったが、何故かひどく不安になった。心臓の鼓動はどんどん早くなる……聞いてはいけない、そんな気がして。
だけど、それは訪れる。陸の真っ直ぐな言葉と共に。
「俺、先輩が好きです」
ようやく、わたしは泉が言いたかったことが分かった。
気がつかなかったのは、わたしがその可能性を初めから排除していたから。
だって、わたしたちは血の繋がった姉弟なんだ。