きみが死ぬまでそばにいる
『せ、先輩! 今度の週末、どこかへ行きませんか』
照れ隠しのように、声を張る陸はいっそ愛しくすら思える。こんな女に騙されて、愚かしくて、可愛いのだ。
「……いいよ。どこへ行く?」
『丁度と言ってはあれなんですが、遊園地のチケットがあって』
「わかった。遊園地だね。楽しみにしてるね」
陸の気合いの入りようが、手に取るように分かる。彼はわたしとの約束通り、わたしを本気にさせようとしてくれている。
今のところは、順調。あとは、わたしが、自然に陸を好きになるふりをすればいい。
ちょうど電話を切るか切らないかのところで、リビングの扉が開いた。入って来たのはお風呂を済ませたばかりの祖母で、携帯を持ったわたしを見て意味ありげに微笑んだ。