きみが死ぬまでそばにいる
 
「サキちゃん、最近よく電話してるわね。もしかして、ボーイフレンドなの?」
「そんなの、まだわたしには早いよ。ただのお友達だよ」
「あらまあ、そうなの? 隠さなくてもいいのに」

 ふふふ、と笑って祖母はキッチンの方へと消えた。
 偽のボーイフレンド。彼は友達ですらない。
 だけどそんなことは、人のいい祖母や祖父には言えなかった。二人は、父の本性すら未だに知らない。
 愛人や隠し子のことはもちろん、母とは金目当ての結婚だったことも。そして母の死後、わたしを祖父母に預けたのは、仕事が忙しくまともに家に帰れないからだと、本気で信じている。
 とはいえ、今後陸との電話は自分の部屋に限った方がいいだろう。
 余計な詮索をされても面倒だし、何よりこの復讐に祖父母を巻き込むつもりはない。万が一わたしのやろうとしていることを知ったら、優しい二人は心を痛める。
 絶対に、知られないようにしなければ。
 
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