きみが死ぬまでそばにいる
陸との初デート日、週末の遊園地は人でごった返していた。
今月リニューアルオープンしたばかりの新しいおばけ屋敷が人気で、例年の倍以上の人出になっているらしい。
ただでさえ暑いというのに、この熱気は異常だ。人ごみ、暑さ、遊園地……わたしの嫌いなものばかり揃っている。
ちらりと隣に目をやると、陸がにこにこしながら笑いかけてきた。その目はきらきら輝いていて、何を考えているかは聞かなくても分かるような気がする。
「先輩、少し休憩しましょう。何飲みますか?」
「え?」
陸の言葉は予想外だった。
ようやく入場ゲートを通ったばかりで、まだ何もしていない。それなのに休憩とは。
「ここで待ってて下さいね」
内心首を傾げるわたしを木陰のベンチに座らせると、陸は飲み物を買いに近くの売店へと駆けていった。
確かに喉は渇いていた。だけど、そんな顔は見せていないし、もちろん口にも出していない。