きみが死ぬまでそばにいる
わたしと陸が本当は付き合っているということを知らなければ、天童さんの言い分は至って正論だ。
しかし、それを何の関係もない部外者に言われる筋合いはない。
このまましらを切り続けても良い。その方がどちらかといえば、わたしの対外的なイメージは守れる気がする。
穏やかで、控えめな、資産家の令嬢。腹の底で渦巻く黒い感情を隠して、ここ数年わたしが作り上げてきた虚像だ。
壊すのは勿体ない……でも、この子は邪魔だ。
「どうしてそんなこと、天童さんに言われなくちゃならないのかな。わたしに命令する権利なんてあなたにないでしょ。ていうか、ふられたくせに図々しいのはそっち」
「なっ――……!」
わたしの言葉に天童さんは顔を赤くした。
「何年も近くにいたのに、何もなかった時点で諦めた方がいいんじゃないかな。陸言ってたよ? 無理矢理キスなんてされて迷惑だって」
少々言いすぎな気はしたけれど、これくらいは言わないと。
もともと、既に蹴落としたと思っていた女だ。それがこうして、わたしの邪魔をしに来た。
今度はわたしに歯向かおうなんて気を起こさせないように、徹底的に潰しておかなければいけない。