きみが死ぬまでそばにいる
「先輩、今日はなんだか機嫌がいいですね」
陸が言ったのは、帰りの電車の中だった。
結局あの後、天童さんは部活に来なかった。その理由は明白だったが、何も知らないふりをしてとぼけておいた。
わたしとしては、かなり気分が良い。
「えー? 分かる? 夏休みの旅行、楽しみなんだ」
「次の旅行は泊まりなんですよね」
「そうそう」
「行き先はどこに決まりますかね……やっぱり、部長の案が有力かな……」
夕方の電車は、帰宅するサラリーマンや学生で少し混雑していた。わたしたちは、離れないように手を握りながら、会話に花を咲かせる。
「どこでもいいよ。椎名くんと一緒なら」
不意に電車が傾いて、わたしは扉に寄りかかる陸に体重預ける。