きみが死ぬまでそばにいる
陸がわたしを自分の家に招待してくれたのは、翌週の日曜だった。
天候は生憎の曇り空。いつものように友達と遊びに行くと言うと、祖母は傘を持たせてくれた。
「あまり遅くならないのよ」と言った優しい祖母は、会っているのが友達ではないと気付いているのかも。
けれどもそれが本当は異母弟で、わたしが彼に何をしようとしているのか、そんなことは善良な祖母には思いもしないことだろう。
この復讐が終わったら、わたしは自らのエゴと引き換えに残った全てを失うかもしれない。優しい祖母も、大切な親友も、この何不自由ない生活も。
そんなことを考えるわたしは――もしかして、迷っている?
「今ならまだ、間に合いますよ」
「え?」
「いや、だから、次の上映。どうしますか?」
我に返ったわたしは、自分が今いる場所を思い出して首を振る。
「やっぱりお腹すいちゃったな。先にご飯にしよう」
「じゃあ、お店は任せてもらっていいですか?」
「うん、任せるよ」
わたしはそう言って腕を絡め、本物の恋人同士のように歩き出す。
馬鹿な考えだ。今更やめる、なんてあり得ない。