きみが死ぬまでそばにいる
 
 登校する新入生の中、異母弟の姿を探してみた。だけど、見つけることはできなかった。見逃したのかもしれないし、見た中にはいなかったのかもしれない。
 まあ、見つけたところでどうするのか。それはまだ決めていなかったわけだけれど。

 急ぐことはない、時間はたっぷりあるのだから――と、そんなことを考えながら、引き上げるために荷物を片付けていた時だった。

「柏木、菅原。朝から悪いな」

 背後で知った声を聞いた次の瞬間、泉の声が弾んだ。

「部長! 遅いですよお。もう終わっちゃいましたから!」
「悪い、悪い。明日からは俺も手伝うし」

 もうすぐ校門も閉められる――そんな時間になって、ようやくやって来た旅行研究同好会の部長。彼は、じゃれあうように泉と挨拶を交わした。
 そんな二人を、わたしはただ眺めていた。二人が眩しく見えるのは、太陽のせいだけではない……と思う。

「菅原も、助かったよ」

 不意に笑顔向けられて、どきりとする。

「いえ、わたしは……何も」
「ありがとな」

 いつも通りに微笑めば、ぽんと頭を叩かれた。
 ずるい。そんな風に言うのは。
 
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