きみが死ぬまでそばにいる
「ゲームでもしますか?」
沈黙に気を遣ったかのような陸の言葉に、わたしはゆっくりと首を振った。
もうすぐ終わる偽物の時間。それはすぐそばに迫っている。無知で愚かな可愛い弟は、その時どんな顔を見せてくれるだろう。
不思議だ。いつのまにか、息苦しさは小さな胸の痛みに変わっている。緊張している時に、こんな風に胸が痛むなんて知らなかった。
「わたし、あれが見たいな。アルバム」
チクチクとした正体不明の痛みに気づかないふりをしながら、わたしは本棚を指差した。
本や漫画が並べられる棚の中で、差し込まれるように無造作にアルバムが置かれている。
「え? いいですけど、別に面白くなんかないですよ?」
そう言いながらも、陸はアルバムを持ってきて、わたしの前で開いてくれる。
それは思った通り、幸せな家族の写真が詰まっていた。
七五三、入学式、運動会、家族旅行、その中にわたしの父親と同じ顔をした男を見つける。分かってはいたけど、自分の父が他の子供の父親のような顔をして写っているのはやはり気分のいいものではなかった。