きみが死ぬまでそばにいる
搦め捕る
旅行研究同好会、夏休みの旅行は静岡に決まった。富士周辺の観光と、夜は富士山の見えるコテージでキャンプ。
多分そんな感じだったと思う。同じ二年の三原さんが、山の素晴らしさを力説していたのは覚えているから。
「紗己子、本当に大丈夫なの?」
ミーティングが終わって、皆が帰って行く中、泉の声で我に返って、わたしも帰らなければと思う。
「ごめん。本当に大丈夫なの。ちょっと考え事しちゃって……」
「本当にそれだけ?」
「うん」
「そっかあ。じゃあ、早く帰ろ?」
無理矢理笑顔で頷いて立ち上がった――その時。
「柏木、ちょっといいかな」
それは、少し緊張したような部長の声だった。
部長は泉に謝りに来たんだと思った。いつも自信に溢れている部長が、少し頼りなさげに見える。