きみが死ぬまでそばにいる
「え? 一緒に帰ろうと思って。それとも、今日は用事あります?」
「そうじゃなくて! 白々しい言い方はやめてよ。どうして今更……こんな……」
こんな茶番は、もう終わらせたはずだった。
「確かに――昨日のことは、ちょっとショックでしたけど。もしかしたら、とは思ってたんです。先輩みたいな綺麗な人が突然現れて――彼女になってくれて。都合が良すぎじゃないかと。まさか、ああいう話だとは思わなかったけどね。まあ、別に、別れたわけじゃないし」
「――何、言って……」
わたしには、陸の言葉の意味が全く理解できなかった。
「何って、そのままの意味ですよ。先輩は俺の彼女、だから俺のもの」
「ちょっと……自分の言ってる意味が分かってる!? わたしたちは腹違いの姉弟なの! 血がつながってるんだよ!?」
「――大丈夫」
不意に陸の手がわたしへと伸びる。わたしはまるで金縛りにあったように動けず、その手を容易く搦め捕られてしまう。
陸は優しくわたしの手を包むと、その甲に自らの唇を落とした。
「法律上は、赤の他人です。昨日母さんを問い詰めたら、色々喋りましたよ。俺、父さんに認知されてないんだって。だから、大丈夫」