きみが死ぬまでそばにいる
 
 ぐうの音もでないほどの正論だった。
 けれど、とても受け入れられない。自分の行為は当然だと、信じ込んでいたわたしには。

「俺から――逃げられると思わないでくださいね」

 そう言った陸は、不意にわたしの腕を掴んだ。
 動揺から油断していたとは思う――彼は抵抗するより早く、わたしを自分の方に引き寄せると、そのまま強引に唇を重ねた。
 主導権は自分にある、とでも言いたげな乱暴で傲慢なキスがわたしを踏みにじる。
 ――数十秒にも及ぶキスの後、陸は再び得意気に微笑んだ。

「そばにいて下さい。ずっと、死ぬまで」

 乱れた呼吸を整えながら、わたしは恍惚と陸を見上げる。

 ――どうして、こんなことになってしまったのだろう。

「じゃ、帰りましょう」

 キスの余韻がまだ完全に消え去らぬ中、目の前に陸の手が差し出される。それを拒む気概は、もうわたしにはなかった。
 今更後悔しても全てが遅い。きっと、彼の言う通りなんだろう。
 逃げられない。これは多分罰なのだと思う。
 
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