きみが死ぬまでそばにいる
これまでは付き合っていることを秘密にしてきた。だから、校内を陸と手をつないで歩くのは初めてだった。
陸は相変わらず、何事もなかったかのように振る舞う。この不自然に比べればどうでもいいような他愛ない話をする陸に、わたしはただ相槌を打った。
こんな時間は早く終わって欲しい。けれど、どうしたらいいのか、分からないのだ。
そして、とうとう恐れていたことが起こる。
「あれっ、紗己子……と椎名くん?」
靴箱の前で、わたしたちと同じく手を繋いだ泉と部長に鉢合わせた。二人の雰囲気を見たところ、おそらく仲直りはうまくいったのだろう。
「今帰りなの?」
「はい」
泉に答えたのは、陸だった。彼が今更、手を離してくれるようなことは勿論なく、わたしはその意図を嫌でも理解した。