きみが死ぬまでそばにいる
 
 キャンプ場に向かって出発した一行は、途中のスーパーで食材や必要物を調達して、十四時には現地に着いた。
 早速皆で夕飯の準備を始める。顧問の先生、部長、陸の男子メンバーはコテージ側の備え付け大テーブルで火の準備を、残りの女子メンバーはコテージの中のキッチンで食材の準備をすることになった。

「では、長谷部先輩はお米をお願いします。皆ちゃんは京子と焼きそば、菅原さんと柏木さんは野菜のカットとサラダ、私は豚汁を仕込みます!」

 何が三原さんをそこまで突き動かすのかは分からないが、とにかく彼女は燃えていた。しかし、ほとんどがアウトドア初心者であるわたしたちにとって、三原さんが頼れる存在であることは間違いない。
 指示の出しかた、段取り、手際のよさ、仕切りの能力……そもそもこの旅行のプランが三原さんの提案である。指示されたように野菜に包丁を入れながら、わたしは次の部長は彼女だろうか、と思った。

 三年生はこの旅行を最後に引退する。そして春には卒業……部長と長谷部先輩は学校からもいなくなる。そう考えると確かに多少寂しくはあるのだが、それ以上の感情はわいてこない。不思議だ。あれほど好きだった人と離れるというのに、悲しみ一つ感じない。

 そうなってしまった理由をわたしは自覚している。わたしは、多分部長のことが好きではなくなってしまったのだ。
 明白な理由。しかし、どうしてそうなってしまったのかと問われると、途端に分からなくなる。――何故?
 
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