きみが死ぬまでそばにいる
 
「そういえば、天ちゃん結局来れなかったね」

 共に野菜のカットに励む泉が、少し離れたコンロの前に立つ皆川さんと永塚さんを見ながら言った。
 わたしを呼び出したあの日以来、天童さんは一度も部活に顔を出していなかった。辞めたとは聞いていないから、籍はまだあるはずだけれど。

「……そうだね。皆川さんも寂しそうだし」
「本当、どうしたのかな? 学校には来てるらしいけど」
「……そうなんだ」

 おそらく……いや、確実に天童さんが来なくなったのはわたしのせいだ。そんなことは微塵も疑っていない泉に、ちくりと罪悪感が芽生える。
 何を――今更……



 馴れない手つきが二人、なんとか野菜を切り終わった頃、長谷部先輩がサラダを手伝ってくれていた。
 他のメンバーも、もうほとんど完成が近い。

「ごめん。ちょっと外で休んでる。先に始めてていいよ」
「えっ――大丈夫なの?」
「平気だから、心配しないで」

 驚いた泉になんとか笑ってみせて、わたしは一人コテージの外に出た。
 先程から、一旦おさまったかと思った頭痛がどんどん酷くなっている。身体のだるさも更に増し、立っているのも結構しんどい。
 だけど、きっとみんな楽しみにしていた旅行だ。誰にも知られたくなくて、わたしはコテージの裏手にしゃがんで身を潜めた。
 自分でも馬鹿だと思う。こんなところに隠れて、落ち着くのを待っているなんて――……
 
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