きみが死ぬまでそばにいる
 
「なぁにサボってるんですか、先輩」

 軽い声が聞こえてきたのは、数分後だった。
 その瞬間、もっと上手く隠れるべきだったと後悔しながら、顔を上げ立ち上がる。

「そっちこそ、火はついたの?」
「もちろん、完璧ですよ。俺は柏木先輩に探して来るように言われて……ていうか、先輩本当に体調悪いんじゃないですか?」
「……大丈夫」

 陸にはあっさり見抜かれてしまったようだが、わたしはあえて否定した。生理の時の体調不良なんて、よくあることだ。

「でも、顔色悪いし」
「暑いの苦手だから」
「朝からずっとじゃないんですか」
「大丈夫だって!」

 陸がしつこく聞いてくるので、わたしは思わず声を荒げた。苛々して、仕方がない。
 こんなこと、以前ならあり得なかった。最近のわたしは、猫を被る余裕すら失っている。

「隠されて、何かあった時の方が皆が迷惑するんです。正直に言ってください」
「……ねぇ、何なの? 白々しく心配してるふりなんかして。付き合ってるふりもそう。何が目的なの?」
 
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