恋はしょうがない。〜幸せな結婚式〜
結婚式 2
一方、真琴が準備をしている間にも、他の生徒達はせわしなく動き回っていた。
男子達は式場の設営。
校門脇のしだれ桜の下に、小さくて低いステージのようなものを置き、そこから正面玄関までのアプローチにレッドカーペットを敷いていく。
放送部の部員たちがマイクや音響機器をセッティングする。
吹奏楽部の部員たちは、パイプ椅子と自分たちの楽器を持ってきてチューニングし、スタンバイする。
そんな風に、こちらの準備は着々と進んでいく。
真琴と古庄のクラスの生徒達をはじめ、二人を祝福したい全校の生徒たち、そして同僚の教員たちが集まって来た。
真琴の両親と弟の正志、古庄の両親も、事前に内密で連絡をもらい、この場所へと駆けつけた。
初対面の双方の親たちは挨拶をし合い、同年代の生徒たちの中、一人だけ違う制服を着る正志は、少々緊張した面持ちだ。
そして、準備は万端に整って、あとは新郎と新婦を待つばかりとなった。
しかし、申し合わせていた時刻になっても、花嫁の真琴はおろか、古庄の姿も見えない。
何も変化が起こらず、手持ち無沙汰な時間だけが過ぎていく…。