恋はしょうがない。〜幸せな結婚式〜
「古庄くんは何やってるの?賀川さんはお父さんと入場するから、先に来て待ってないといけないのに…」
気をもんだ石井が、そう言って表情を曇らせる。生徒達も心配して、ざわめき始めた。
…と、その時、一台の軽トラがエンジンを吹かせながら爆走し、校門から入ってくる。
生徒達はわらわらと逃げ惑うように進路を開け、来客用の駐車場に停車したこの場違いな軽トラに、みんなの視線が集まった。
そして、皆の視線はそのまま、軽トラから降りてきた人物に釘づけになる。
辺りは数百人が集まっているにもかかわらず、皆息を呑んで、シーンと静まり返った。
「…何やってるんだよ!古庄ちゃん!!こんな時、どこ行ってたんだよ!!」
沈黙を破って、ラグビー部の堀江がそう叫んだ。
「え…!?あれ、古庄先生?タキシード着ると、イメージが違う…」
「でも、どっちにしても、古庄先生、カッコよすぎる…っ!!」
「…ヤバい…!!見てるだけで、ドキドキしてくる…!」
ざわめきが起こる中、数人の生徒たちが“古庄らしき”人物に駆け寄り、背中を押して正面玄関の前に立たせる。
合図が出されて、放送部の女の子がマイクを持つ。