恋はしょうがない。〜幸せな結婚式〜



訳が分からないながらも、真琴が生徒達に付いて行くと、連れて行かれたのは被服室だった。

そこには、離任式が終わって駆けつけてきた何人もの女子生徒達が待ち構えており、その子たちに取り囲まれて、真琴はギョッとして立ちすくむ。



「さあ、先生。こっちに!」



と、さらにパーテーションの向こうに連れて行かれて、いきなりワンピースの背中のファスナーを下げられた。



「…な、な…!何をしてるの…!?」


真琴は悲鳴のような叫びをあげ、振り返った。


「こらこら、いきなりそんなことしちゃ、賀川先生だってビックリするでしょう?まず、初めにちゃんと説明しなきゃ」


パーテーションの向こうから、平沢が顔を出して、気の逸っている生徒たちを諌める。
すると、生徒たちもお互いの顔を見合わせて、一同に押し黙ってしまう。



「……ここは、言い出しっぺの、有紀ちゃんが言いなよ」


どこからかそんな声が上がり、改まって有紀が一歩進み出た。

一旦下げられていた真琴の背中のファスナーを再び上げてあげると、真琴の腕を取って、被服準備室の方へ向かう。


ドアを開けると、明るく優しい光が満ちたそこに、それは置かれてあった。



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