恋はしょうがない。〜幸せな結婚式〜



古庄は校長の顔を凝視して、言いよどんだ。
いきなりそんなことを尋ねられても、答えを用意しているわけではないので、戸惑ってしまう。


「君が彼女に惚れておるのは、ここにいる皆が分かっていることだが、彼女のどこが好きなのか、言ってみたまえ」


物分りの悪い古庄に、校長は眉根を寄せながらそう言葉を言い換えた。すると、その問いに対しては、古庄は即答する。



「もちろんそれは、全部です!」



単純で解りやすい古庄に、観衆からはまた笑いが起こった。

古庄がそう答えるのはうすうす予想できていたが、それでは話が始まらないので、校長は更に言葉を言い換えた。


「それでは、彼女の全部を君はどのように好きなのか、それを述べてみたまえ」


この問いに、古庄は少し考え込んだ。

目の前にいる校長と、自分の横で緊張した面持ちをしている真琴と、順に見つめて口を開いた。




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