恋はしょうがない。〜幸せな結婚式〜
そのまばゆいほどの美しさに、真琴は言葉もなく息を呑む。
それが何のためにそこに置かれてあるのか…そんな理由さえ推し量ることもなく、誰もが憧れる純白のそれに目を奪われた。
そこにいて、完成品の仕上がりのチェックに余念のなかった佳音が、ドアの開いたことに気が付いて立ち上がる。
すると有紀は佳音の隣に行って、真琴へと向き直った。
「先生のウェディングドレス。みんなで頑張って作ったの。今日は、これから結婚式だよ」
真琴は目を瞬かせて、棒立ちになった。
目の前の現実を自分の中で処理する間、視線は捉えるところが分からず、あてどもなく彷徨った。
「……え?……結婚式……って?」
混乱する思考の中から、疑問が口を衝いて出てくる。
「だから、先生と古庄先生との結婚式。先生たちにプレゼントしてあげようと思って、ずいぶん前からみんなで準備してたの」
有紀のその言葉を聞いて初めて、真琴は自分たちの結婚が、生徒たちに露見してしまっていることを覚った。
「みんな…、知ってたの?」
そう言いながら、真琴の視線は佳音に注がれる。
真琴の認識では、古庄との結婚の事実を知っているのは、佳音だけのはずだった。