恋はしょうがない。〜幸せな結婚式〜
「大石先生から、誰かブーケを預かってる?」
「ああ!後でこっちに持ってきてくれるって、大石先生が言ってた!」
周囲でそんな会話が交わされて、ようやく真琴も自分の置かれている状況を理解し始める。
「あの……、結婚式って…。本物の『結婚式』?」
真琴のその一言を聞いて、生徒たちの動きが止まり、一斉に視線が真琴に集まった。
「やだ!先生!!さっきのあのウェディングドレス見たでしょう?」
「そう!正真正銘の『結婚式』だよ!!『ごっこ』なんかじゃないんだからね!」
「今頃、古庄先生も準備をしてるし、男子が式場の設営をしてくれてるはずだよ」
「先生の好みとかもあったかもしれないけど、私たちが先生を史上最強に可愛いお嫁さんにしてあげて、最高の結婚式をしてあげるからね!!」
口々にそう言う生徒たちの意気込んだ様子に、真琴は言葉を潰えさせ息を呑む。
どうやら本当に、本格的な“結婚式”が行われるみたいだ。
真琴の心の動揺はよそに、そうしている間にも美容師により「お嫁さん」は、どんどん作り上げられていく。
やるべき準備が整った生徒たちは一人二人…真琴の側に集まって、真琴が美しく変貌して行く様を見守った。