恋はしょうがない。〜幸せな結婚式〜
「これは、私から賀川先生へのお祝いです。いつも私の爪を綺麗にしてくれる友達に頼んで、作ってもらいました」
髪のセットアップとメイクが終わった真琴に、平沢が差し出した小箱には、清楚で可愛らしいデザインのネイルチップが入っていた。
「あ…、ありがとうございます」
とりあえずお礼は言ったものの、真琴は生まれてこの方こういったもので飾ったことがないので、戸惑ってしまう。
すると、平沢はその箱からチップを取り出して、一つ一つを真琴の爪に着けてくれる作業を始めた。
真琴の爪をリムーバーで拭き、チップを爪に当ててサイズを微調整し、装着していく。
その様子を生徒たちは、丸く取り囲んで眺めている。
自分を見つめる生徒たちの中に、いつも職員室の古庄の机の周りやいろんな場所で、古庄にまとわりついていた女子生徒がいることに気が付いて、真琴はその子の目を見て語りかけた。
「……古庄先生が結婚してるって知って、ショックじゃなかったの?…私のこと、憎らしく思わなかったの?」
それは、モテすぎる古庄を夫に持ってから、真琴がずっと恐れていたことでもあった。
その女の子は、恥ずかしそうに肩をすくめて、真琴に答える。