恋はしょうがない。〜幸せな結婚式〜
髪にヴェールを着けてもらい、グローブも嵌めて、届けられていたブーケを手にすると、正真正銘の花嫁さんが完成した。
その真琴の姿を見て、女子生徒たちは息を呑む。
「先生っ!!めちゃめちゃ、可愛いっっ!!」
「すごい、キレイ――っ!!」
自分たちが一生懸命になって作り上げた花嫁さんの出来栄えに、生徒たちは思わず声を上げた。
挙句の果てには、
「これ、本当に賀川先生?!信じられない!!」
という言葉まで飛び出した。
「え……」
それを聞いて、真琴は顔を曇らせた。
綺麗になったとは言え、自分だということを古庄が認識してくれないのは、やっぱり困る…。自分がどんな風に化けてしまったのかと、心配になってくる。
そんな真琴を見て、平沢が気を利かせて準備室から姿見の大きな鏡を持ってきてくれた。
「大丈夫ですよ。…ほら。これが本当の賀川先生の姿なんです」
そう言ってくれながら、自分の方へ向けてくれる鏡を見て、真琴は生徒の一人が放った言葉のように、本当に信じられなかった。
鏡の中にいる白い妖精のような人物は、自分とはまるで違う別人のようなのに、瞬きをしても、腕を動かしても、自分と同じように動いている。
不思議な感覚を伴いながら、真琴は自分の姿から目を離せなかった。