今日も僕等はこの場所で想いを募らせる





“お前の事が好き”






シンプルが一番、そう思った俺はその一文しか書かない。







さて、これを書いたのはいい。



問題はこの紙をアイツにどう渡すか、だ。






多分嫌われているであろう俺が直接渡しに行ってもアイツは受け取らない。





…どうしたものか。









その時だったー…




『私が回してあげてもいいけど?』




隣の席のアイツの友達がそう言ってくれた。



マジで女神だと思った、さっきはお前の事冷たい女だと思ってゴメン…とか思う俺はそっとその紙を友達に渡す。









ドキドキ、俺の心臓はすっげー速くなってる。




え、もう見たの?


てか、え、見たの?





横目で、並びに座っているアイツを見てみる、けどアイツは黒板の文字をノートに写していて…





は、見てないの、まだ?



すっげードキドキしながらアイツの反応を窺っていた俺って何!








…なんて思っていると、






『はい、旦那から!』






……俺の聞き間違い?



“旦那”って……いやいや俺が一方的に想いを寄せているだけで、てか、その言い方って…










『旦那?』



アイツは怪訝そうな顔で友達と俺の書いた紙を交互に見つめている。







『そ、あんたの旦那からだよ』




『私、結婚してもないけど…』




『うーん、けどあんたを愛してやまない旦那からの手紙なんだから読んでやんな!』







……はいいいいいいいいい!!?



さりげ隣から聞こえてくる、その会話に俺の心臓は再びドキドキが加速していくー…









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