【短編】スキキライダイスキ
別にいい。
そのうちお別れだ。

知ってる顔なんて何人もいる。
だけど関わるつもりもない。面倒。

苦しいだけ。

それなのに、

「あー!もしかして松原さん!?」

「…?そうだけど」

顔を上げると見るからにチャラそうなイケメン。

確か名前は…

「俺、日向 仁南だよー!」

そう、ひゅうが にな。

「知ってるよ」

知らないはずもない。
C組だった彼は整った容姿だし、だいたい三クラスしかない校舎で見かけない人などいない。

加えてその容姿なら噂が絶えないのも明白で。

「え?まじ?うっそ俺有名人?」

ばか、なんだろうか。

いや、バカならこのA組には入れないはず。
てことはそれなりに学はあるのか。

「俺、松原さんと一回喋ってみたかったんだよねー」

どう返したものか迷っていると、

「ちょ、仁南…」

たてロール低めツインテールのいかにもな女子が日向を呼んだ。

「なに?桃」

桃っていうのか可愛い名前だな女子って感じ。


でもたぶんこれから起こるのは可愛くない現象。
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