【短編】スキキライダイスキ
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この学校には《親睦球技大会》なるものがある。

校舎の違う生徒が仲間として支え合えるように、という輝かしいスローガンを掲げた世にもめんどくさい行事だ。

でもその面倒くささが私は何気に好きだったりする。

「あー始まったね恒例行事」

隣には小梅。

「今年はテニスかー」

私の呟きに弾かれたように小梅がこちらを見る。

それもそうか。

「…ダメだよ、蕾」

「分かってる。私だっていくらテニスしたくても、そんな…自殺行為しない」

安堵が顔に出る小梅。

「そっか」

「あっ、小梅ちゃん!」

向こうから誰か女の子が手を振っている。
私と違って小梅は人気者だ。

「小梅ちゃんさ、テニス上手いのに何でテニス部入んなかったのー?中学テニス部だったんでしょ?」

「えー?だって高校生活は美白に専念するって決めたからー!」

うわ裏切り!なんてその子は軽口を言いながら走っていく。

「…嘘つき」

「え?」

「小梅はテニス部入って良かったのに。この球技大会もわざわざ補欠にならなくても…」

小梅は寂しそうに笑う。

「だって、少しでも蕾と一緒にいたいし」


──やばい。泣きそう。

ごめんね、小梅。私は残酷だ。

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