【短編】スキキライダイスキ
試合が始まった。

パコーン、パコーンと軟式独特の小気味いい音が鳴る。

「きゃー!日向くーん!」

相変わらず日向人気は甚だしい。

確かに、運動はできるみたいだけど─コースが甘い。

それでも勝ち進むことはでき、もう男子も女子も決勝だ。

男子は日向と理系クラスの男子。

ゲームスコアは二対二だが優勢だった日向も三ゲーム目でデュースにもつれ込まれそうだ。

「ああ…」

小梅が呻く。

あまりにも続くので教師陣から休憩命令が下された。
審判のコールで両者がコートから出る。

「あれ?」

「どうしたの蕾」

日向の足に、違和感。

身体が勝手に走り出していた。


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