見上げるは福寿草、君は春という名の天使。

 と、そんなことがあり今は駅のホームの椅子に座っている。


 天気予報、外れたな。




「ほんとに、なんなのよ!いきなり降るなんて!」


 隣で服が吸った水分を絞るハルカが腹立たしげに言った。

 文句はまだまだ続く。


「じめじめするし濡れるし寒いし、雨なんて大嫌い!」


 酷い言いぐさだ。雨のお陰で生きていけているというのに。まあ、今日のはちょっと苛立ったけど。


 そういや、僕たち濡れっぱなしだった。


 ハルカの濡れた髪が頬にしっとりと張り付いて、また服も透けていて、凄くエロい。

 目に毒なので、タオルと上着をハルカに渡す。勿論、乾いたやつを。


「はい、頭拭いてー」

「え?あ、ありがとう……?」


 いや、渡すというより僕がハルカの頭を拭いているな。うん。


 ハルカも訳もわからずお礼言っちゃってるし。
 素直だ。可愛い。



「って、ちょっと!?」


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