見上げるは福寿草、君は春という名の天使。

「ごめんごめん、待たせたな、ハルカ」


 玄関前の壁に背を預け手を組む、見るからに上から目線とわかる赤髪の少女に謝る。僕は素直に謝った。僕は悪くない。


「遅いわよ。何してたの?」


 ハルカが獅子すらも怯みそうな眼力で僕を睨む。まあ、僕は慣れてるから効かなくなったけど。でもやっぱり怖いもんは怖いなあ。


 母さんはとっくのとうに家の中に帰ってしまったようだし。歩きながらでも話すかな。


「いやぁ、ただただぼーっとしてただけ…」

「はぁ?何様のつもり?ヨータの分際で、そんな理由でこのアタシを待たせるなんて。生意気にも程があるわよ!」


 言うことを遮られて怒鳴られる。

 ああ、出た。ハルカの私女王様気分の自己中。

 くそ、ハルカはこれがなければなぁ。普通の可愛い女の子なのに。


「ちょっと、無視しないでくれる!?ヨータはアタシの下僕なんだから、しっかり主に従いなさい。わかったわね!」

「んー」


 しかも僕の好みドストライクなんだよなぁ。

 こんな性格でも、なかなか優しいとこもあるし。


ーーそんなハルカと一ヶ月間泊まり込みの勉強会、か。

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